信号機のない横断歩道は、生活道路でも幹線道路でも基本的には歩行者優先です。しかし、実際に自動車が止まってくれるかどうかは地域によってバラバラなのが現状。このため、東京五輪・パラリンピックを控え、警察が重点的に取り締まりを始めています。横断歩行者等妨害等の違反の取り締まりを強化した理由を見ていきましょう。
横断歩行者等妨害等の違反取締りを強化
信号機のない横断歩道では、もともと自動車側が歩行者を優先し、一時停止する義務があります。これを守らないと「横断歩行者等妨害等」という交通違反。警察は今、この横断歩行者等妨害等の取り締まりを強化しているのです。
取り締まり強化の理由は、東京五輪・パラリンピックで大勢の訪日外国人が見込まれるなか、お年寄りや子どもが横断歩道上で巻き込まれる事故がなくならないため。なかには、横断歩道近くにパトカーを隠して止め、待ち伏せで横断歩行者等妨害等を取り締まるケースも報告されています。
横断歩行者等妨害等の反則金は普通車(軽自動車を含む)では9000円。反則金の額は駐車違反の1万5000円などより少ないですが、それでも1万円近くの出費。また、違反点数の2点も加算されます。
信号機のない横断歩道での一時停止
ただし、交通違反ではあるものの、信号機のない横断歩道での一時停止はあまり守られていないのが現状。自動車ユーザー団体・JAF(日本自動車連盟)は2018年の8~9月に実地調査を行い、都道府県別の「止まる率」を発表しています。
そして、歩行者がいた場合に一時停止する割合が一番多かったのは長野県の58.4%でした。続くのが静岡県39.1%、石川県26.9%、島根県26.5%、鳥取県25.6%となっています。
一方、一時停止する割合が一番低かったのが栃木県の0.9%。続いて、広島県1.0%、三重県・和歌山県1.4%、青森県2.1%となっています。数値上、これらの県では一時停止をしてもらうことはほぼ期待できないということです。ちなみに、全国平均も8.6%と低い割合になっています。