パトカーといえば、トヨタの「クラウン」と思い浮かべる人が多いはず。10年ほど前までは日産・セドリックなどまざまなパトカーが走っていましたが、ここ数年は白黒パトカーも覆面パトカーもクラウンが採用される割合が増えています。なぜパトカーにはクラウンばかり採用されているのか理由を見ていきましょう。
クラウンパトロールカーは専用モデル
トヨタ自動車の「クラウン」は、日本を代表する自動車ブランドのひとつです。1955年の発売以来、長年にわたりトヨタの高級セダンとして人気を集めてきました。「いつかはクラウン」というキャッチコピーで知られる高級車を、日本の警察はパトカーに採用し続けています。その理由は何なのでしょう。
まず警察庁では、パトカーの車種を4ドアセダンと内規で制定しています。4ドアセダンの車種自体が、国内で少なくなっているのが現状。伝統のセダンをラインアップし続けているクラウンが、パトカーへ採用されるのはある意味、自然な流れでしょう。
しかし、クラウンのパトカー採用率の高さはそれだけが理由ではありません。実は、トヨタ自動車自体が「クラウンパトロールカー」という専用モデルを設定・販売を行っていることも大きな理由の1つでしょう。
クラウンパトロールカーには、パトロール用の「無線警ら車」と交通違反取り締まり用の「交通取締用四輪車」の2種類があります。最新の210系クラウンの場合、無線警ら車は市販車のロイヤル、交通取締用四輪車は市販車のアスリートがベースです。
クラウンパトロールカーは一括購入
クラウンパトロールカーは当然ながら一般人が購入することはできませんが、何とカタログまで作られています。これはトヨタがパトカーに相当力を入れているということ。そこまでトヨタがパトカーに力を入れるのには、ある程度まとまった台数を安定して納入できることが背景にあります。
実は、パトカーは警察庁が全国分を一括で大量購入する仕組みです。クラウンパトロールカーの場合、市販モデルより1台あたり数十万円以上安い設定。警察向けの装備が標準で付いているうえに安いとなれば、全国のパトカーがクラウンばかりになるのも仕方ないことといえるでしょう。
しかし、今後もパトカーにクラウンばかりが採用される状況が続くとは限りません。というのも、2018年の220系へのフルモデルチェンジでクラウン自体の価格が大幅にアップしてしまったのです。
警察が今後もクラウンを採用し続けるのか、あるいは廉価モデルのマークXや日産・ホンダなどの車種が採用されるのか、今後が注目されるところです。