数ある交通違反でもっとも多い違反の1つ「駐車違反」は、他の違反とは違う仕組みで取り締まりが行われています。駐車違反の「放置違反金」制度の場合、自動車の持ち主が違反金を払えばドライバーは警察に出頭する必要もなく、違反の点数も付かないことになります。もしレンタカーで駐禁ステッカーが貼られた時はどうしたらよいのでしょう。
レンタカーに駐禁ステッカーが貼られた場合
現在「駐車違反」の取り締まりについては、スピード違反など他の交通違反と違って「放置違反金」という制度が導入されています。この制度は、実際に駐車違反をしたドライバーではなく、その自動車の持ち主から違反金を支払わせようというものです。
ドライバーが警察署に出頭して青キップを切られない限り、自動車の持ち主には放置違反金の納付書が届き、これを支払わなくてはなりません。逆に言うと「ドライバー=持ち主」の場合は放置違反金を支払えば、青キップを切られることはなく、違反の点数も付かないことになります。
青キップで取り締まられた場合の反則金と放置違反金は、実は同じ金額で普通車の場合は1万5000円。支払う金額が同じで片方は違反の点数が付き、もう片方は点数ゼロとなれば、点数ゼロの方を選ぶのが普通でしょう。
ところが、この制度によって困っているのがレンタカー業界。レンタカーに駐禁ステッカーが貼られた場合、放置違反金を支払うのは「自動車の持ち主=レンタカー会社」になってしまうためです。
レンタカーに駐禁ステッカーが貼られて出頭
そこで、レンタカー各社の契約書(貸渡約款)には、レンタカーに駐禁ステッカーが貼られた場合、警察署に出頭して青キップの違反にあたる「交通反則通告制度」の手続きをすること…と記載。つまり、レンタカーに駐禁ステッカーが貼られたとしても、原則として放置違反金で済ますことができません。
そして、利用者がこれに反して青キップの手続きをしなかった場合、別途違約金を取るとも定められています。この金額は普通車で2万5000円の会社がほとんどで、放置違反金の1万5000円より1万円高く付くことになるのです。
さらに、レンタカーの業界団体「全国レンタカー協会」は、レンタカーに駐禁ステッカーが貼られて反則金も違約金も支払わなかった利用者を登録するデータベースを作成。そして、このデータベースに登録されると会員のレンタカー会社すべての利用ができなくなるのです。
なお、レンタカー会社にこの違約金を支払ったあとで利用者が駐車違反の反則金を支払った場合、違約金は全額返却される仕組み。また、違約金を支払った場合には全国レンタカー協会のデータベースに登録されることもありません。