尾崎豊『十七歳の地図』収録のライブアルバム
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「地図」が出てくる音楽・文学・美術etc. 第一回

「地図」という言葉がタイトルにある歌として、尾崎豊の『十七歳の地図』を思い浮かべる人は少なくないだろう。この曲は尾崎の2枚目のシングルとして1984年3月に発表され、また1983年12月にリリースされたファーストアルバムのタイトルにもなっている。

尾崎豊初出音源を収録したアルバム

この記事を書いている2022年は没後30年ということで、尾崎豊関連のイベントが開催され、生前最後に開催した全国ツアー各会場の初出音源を収録したライブアルバム『LAST TOUR AROUND JAPAN YUTAKA OZAKI』も発売された。

尾崎が活躍し始めた当時、筆者は高校生だった。その頃、個人的にもっぱら好んで聞いていたのは洋楽であり、日本のミュージックシーンにはさほど関心がなかったため、彼の音楽を追っかけるようなことはなかったが、それでもそこかしこで耳にして印象に残ったのは覚えている。

また同級生が、頻繁に話題にしていた歌手・芸能人といえばおニャン子クラブと尾崎だった。そうしたことから考えてみても、あの時代の日本の高校生は多かれ少なかれ、尾崎豊という存在を意識させられていたのではないだろうか。

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尾崎豊『十七歳の地図』のエネルギー

さらにいえば、大学卒業後、新卒で入った会社で10歳上の先輩がカラオケで尾崎の『卒業』を熱唱したのを目にしたことがあった。"ああ、彼の音楽は自分たちより上の世代に対しても訴えるものがあるのだな"と意外に思ったものだ。

さて、この尾崎豊『十七歳の地図』を、上で触れた『LAST TOUR ~』で改めて聞いてみた。楽曲としてのオリジナリティや洗練度は、『卒業』『I LOVE YOU』『15の夜』の方が上であるが、若さがもたらすむき出しの荒々しさ、いかにも抑えきれないエネルギーがストレートに伝わってくるという点で、独特の魅力があると感じた。

また、リフレインされる「歩道橋の上 振り返り 焼けつく様な夕陽が 今 心の地図の上で 起こる全ての出来事を照らすよ」という歌詞の一節は、なかなか面白い。「心の地図の上で起こる全ての出来事」をどう解釈するかによって、聞く人それぞれに異なるイメージを喚起するのではないか。

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