もともと高速道路は無料化を前提として建設されていたはずですが、首都高を見てもその気配はナシ。それどころか、ETC割引の改悪で料金は実質値上げされる始末です。ところが高速道路の中には、無料で通行できる区間が存在します。高速道路の無料区間が各地で増えているウラ事情を見ていきましょう。
高速道路無料区間の多くは新直轄方式
全国各地で増えている高速道路の無料区間。その多くは「新直轄方式」で建設されたものです。新直轄方式の建設費用は国と都道府県で負担していて、NEXCO3社をはじめとする高速道路会社の負担はゼロ。管理も、国土交通省が行っています。
このような仕組みができた理由は、2005年に特殊法人だった日本道路公団をNEXCO3社へ分割・民営化したことに関係。NEXCO3社は国が100%出資する特殊会社ですが「民間会社」という建前上、日本道路公団時代のように採算がとれない高速道路を作り続けることができません。
そこで、NEXCO3社では建設できない高速道路も作れるよう考えられたのが新直轄方式なのです。このほか、新直轄方式とは別に国・都道府県の負担で一般国道扱いの高速道路が作られていて、こちらも通行料金は無料です。
高速道路の無料区間は道路規格が低い
通行料金が無料となる高速道路では、当然ながらICに料金所がなく自由に出入りが可能。125cc以下の自動二輪車と小型特殊自動車が走行できないのも高速道路と同じです。SA・PAについてはICの外側に作られることが多く、実質「道の駅」扱いになります。
これら無料の高速道路は、建設コストを抑えるため東名高速などの幹線高速道路と比べ道路の規格が低くなっています。そのため、制限速度が時速70~80kmに設定されることが一般的です。
一方で、有料区間と無料区間が混じる路線では、無料区間だけ利用して通行料金を節約するドライバーが多くなってしまいます。このため、結果的に有料区間があまり利用されないという問題も各地で起きているのです。
高速道路の無料区間で渋滞スポット
例えば東九州道の場合、佐伯ICより北側と延岡南ICより南側については有料区間で、その間は無料区間。さらに、延岡南IC~門川ICまでの区間は「延岡南道路」として別料金となり、大型トレーラーなどが対象の「特大車」については、通行料金が普通車の3倍以上です。
そのため、大型トレーラーなどが延岡南IC~門川ICで一般道に迂回。さらに、この区間の一般道・国道10号線は片側1車線しかないため、宮崎県内有数の渋滞スポットにもなっていたのです。
NEXCO西日本はこうした事情を受けて、2020年3月30日から延岡南道路でETC割引を開始。新料金では特大車が950円から360円に、大型車が420円から280円と大幅値下げされました。また、同区間で一般道へ迂回した場合も、中型車以上は延岡南道路の料金がかかる仕組みです。