速度違反の取り締まりは「有人式」と「無人式」に分類可能。有人式はネズミ捕りやパトカー追尾式で、現場で警察官が違反キップを切ります。一方の無人式は、路上に設置したカメラと赤外線ストロボで自動で撮影する、いわゆる「オービス」です。このオービスとは、いったい何の略称なのでしょうか。
オービスとはラテン語で「眼」の意味
自動速度取り締まり装置の「オービス」という名称は何かの略ではなく、1970年代にアメリカから輸入されたループコイル式の「ORBIS ?」という製品名に由来しています。この装置が日本の自動速度取り締まり装置の元祖というわけです。
ORBIS ?の開発元は、アメリカ・ボーイング社。精密機器メーカーの東京航空計器が、1970年代にパテントを取得して輸入しました。このため、無人式の取り締まり装置をまとめて「オービス」と呼ぶようになったというわけです。ちなみにオービスとは、ラテン語で「眼」という意味です。
元祖オービスはループコイル式でしたが、自動速度違反の取り締まり装置はその後、10.525GHzのレーダー波で車速を測る「レーダー式オービス」と「Hシステム」が広く普及。旧松下通信工業や三菱電機が製造していました。
オービス個々の名称にも由来がある
しかし、旧松下通信工業や三菱電機はオービスの製造から撤退。近年の主流は道路に埋め込まれたループコイルで測る「ループコイル式オービス」「LHシステム」となっています。
オービスの個々の略称にも、それぞれ由来があります。三菱電機が製造していた「Hシステム」は正方形の白い“はんぺんアンテナ”が特徴ですが、正式名称は「高速走行抑止システム」。残念ながらHは「はんぺん」の頭文字ではありません。
この高速走行抑止システムが、それまでの旧型オービスと異なるシステムとして、初めて導入された場所が阪神高速道路。Hシステムと呼ばれているのは「阪神」に由来しています。なお、阪神高速道路に初めて設置された時は丸形アンテナでした。
全国的に配備が進む東京航空計器のオービス「LHシステム」は“ループコイル（Loop Coil）式”の「L」と「Hシステム」を組み合わせた略称。“ループコイル式の高速走行抑止システム”という意味になるわけです。
