高速道路や幹線道路で、無人でスピード違反を取り締まる自動取締り装置「オービス」。うっかり制限速度オーバーで通過してしまい、ヒヤッとしたという経験は誰にでもあるでしょう。はたして、オービスを高速道路に設置するには、1台どれくらいの費用がかかるものなのでしょうか。
オービス設置の方式は3種類ある
スピード違反車を自動で検知・撮影して違反車を取り締まる「オービス」は、速度測定方式で大きく「ループコイル式・レーダー式・レーザー式」の3種類に分けられます。
そして、設定した速度以上の車が通過すると、カメラとストロボを使って自動撮影。以前は撮影にフィルムが使われ、フィルム切れで撮影できないこともありましたが、現在はデジタル撮影&中央装置へ即伝送という仕組みになっています。
このうち、レーダー式に関しては旧型が国内製造メーカーの撤退により各地で撤去が進む一方、センシス・ガッツォ製の新型が埼玉・岐阜に登場しています。また、レーザー式が導入されたのは2017年と最近です。
オービス設置にループコイル埋め込み
ループコイル式は一定間隔で道路へ埋め込んだコイルの間を通過する時間でスピードを測定しています。ループコイル式のオービスを国内で製造するのは東京航空計器1社だけです。
現在は、カメラ・ストロボを道路脇に設置する「L型」と、逆L字型の鉄塔を立て、車線上部からカメラ・ストロボで撮影する「LH」型の2タイプを製造・設置しています。L型はフィルム時代から続くデザインのため古く見えますが、LH型もL型もカメラはデジタル化。画像も中央装置へ即伝送される仕組みは同じです。
鉄塔を立てたうえに道路にコイルを埋め込むなど、大掛かりな工事が必要そうなループコイル式オービスですが、その費用はどれぐらいなのでしょう。調べてみると、全額を国が負担する高速道路分について、その価格が判明しました。
オービスの設置費用は1台3500万円
警察庁は2017年度に岩手県警・長野県警・滋賀県警など全国6県警に各1台分のオービス設置費用を支払っていて、その合計は合計2億900万円。すべてがループコイル式で、実際の設置は東京航空計器が行っています。
各県警に支払った額についても資料に記載があり、いずれの県警向けも同じ約3500万円となっています。ところが、実際に各県に設置されたオービスを見ていくとL型、LH型の両方があるのです。
岩手県の場合、2017年度に東北道に設置されたオービスはL型ですが、長野県の長野道に登場したのはLH型。ループコイル式オービスの場合、L型でもLH型でも、国が設置費用を負担する場合は3500万円が相場のようです。