NHKは自宅にテレビがない人からも受信契約を取り付けようとするケースがあります。その典型例がワンセグ付きカーナビを持っている場合。画質も音質も低いワンセグ放送しか映らないカーナビだけ持っていて、地デジ放送を見るのと同じNHK受信料を払うのは馬鹿らしいと考える人も多いのでは? しかし、その理屈は通らないのです。
カーナビのワンセグにもNHK受信料
ワンセグ放送は、地上波デジタル放送(地デジ)が始まったときから用意されたものです。地デジでは、各放送局が使うチャンネル周波数帯を13セグメントへ分割。12セグメントまでを通常の放送に使い、残りの1セグメントでワンセグ放送を行っています。
ワンセグ放送には、12セグメントで行われる放送と比べると画素数が少ない、フレームレートが少ない、音質が落ちる、といったデメリットがあります。そこで、ワンセグ放送受信機能付きのカーナビを持っているだけでNHK受信料が必要になれば、普通に地デジ用テレビを持ちNHK受信料を払うより損といえます。
しかし、NHK受信契約を定めた「日本放送協会受信規約」にはワンセグ契約のような特別な規定がなく、地上契約と衛星契約、特別契約の3種類しかありません。ワンセグ放送は地上系放送のひとつのため、ワンセグ放送受信機能付きのカーナビを自動車に取り付けている場合は地上契約を結ぶことになるのです。
カーナビのワンセグにNHK受信料判決
実は、カーナビのワンセグ機能とNHK受信契約の関係について、過去に「自宅の駐車場ではワンセグ放送は映らないし、そもそもワンセグのためにカーナビを取り付けたわけではない」という理由でNHKと民事訴訟を争った人がいます。しかし、2019円5月15日に東京地裁が出した判決はNHK受信契約が必要、というものでした。
東京地裁が出した判決では、NHK受信契約が必要な理由として、自宅駐車場でワンセグ放送が受信できなくても、移動すればNHKの放送が視聴可能になること、ワンセグ放送を視聴しないという理由だけではNHK受信契約が不要な理由へはあてはまらない、という2点をあげています。
とはいえ、一般家庭の場合であればNHK受信契約はテレビの台数ではなく世帯ごとに1契約という仕組みになっているため、自宅でNHK受信契約を結んでいれば、自動車のカーナビに追加のNHK受信料が発生することはありません。これは、ワンセグ受信機能付携帯電話についても同様です。