街中のスピーカーから毎日流れてくる防災無線のチャイムは市町村ごとに違いますが「ふるさと」など、昔からある「無難な」曲が使われるケースがほどんど。そうしたなか、最近のJ-POPを採用するなど、攻めた選曲を行う市町村もあり、そうした防災無線のチャイムを実際に足で巡って収録したYouTubeチャンネルも存在するのです。
防災無線チャイムにご当地音楽を選曲
学校や公共施設などにスピーカーが設置されることの多い防災無線は、正式には「防災行政無線」と呼ばれ、各市町村が災害時の情報発信のために運用しています。「無線」と付いているのは、市町村の庁舎からスピーカーが置かれた場所への送信に無線が使われるためですが、最近は有線回線を利用するケースも増えています。
大きな災害などがない限り、防災無線で流れるのは決まった時刻に決まったチャイムやメッセージのみ。このような放送が流れるのは、防災無線が正確に動いているかどうかをチェックするためです。あくまでチェック用なので、防災無線のチャイムについても無難なものを選ぶ市町村が圧倒的多数となっています。
そうしたなか、市町村にちなんだチャイムを防災無線で流す市町村も少ないながら存在。もっとも有名なのがX-JAPANの「FOREVER LOVE」を採用する千葉県館山市で、メンバーのYOSHIKIとTOSHIの出身地にちなんだ選曲です。この音源は、美輝川さんのYoutubeチャンネルで聞くことができます。
防災無線チャイムにラジオ体操を流す
美輝川さんのYoutubeチャンネルでは数多くの防災無線チャイムを配信しており、茨城県笠間市の防災無線は12時が「上を向いてあるこう」、17時が「明日があるさ」と故・坂本九のヒット曲を流しています。こちらは、坂本九が戦時中に実家のある笠間市へ疎開していたことにちなむようです。
防災無線のチャイムに市町村歌を選ぶ自治体も数多くありますが、市町村歌自体が攻めた内容のため、結果的にユニークなものになることもあります。新潟県燕市の防災無線チャイムでは市歌「恋ツバメ。」を流していますが、この曲は地元音楽ユニット・ウタヤ音楽堂が2009年に新しい燕市の誕生3周年記念として作ったものです。
また、音楽ではありませんが埼玉県長瀞町では15時からの防災無線チャイムにラジオ体操第一をそのまま流しています。実は、長瀞町がラジオ体操第一を防災無線で流し始めたのは2020年からで、同町のWebサイトによると、新型コロナウイルス感染症の流行で運動不足になりがちな町民の健康増進を目的に行っているとのことです。