
日本人の平均寿命は江戸時代では30歳ほどだったというのはよく聞く話。それがいまや日本人の平均寿命は80歳を超えています。しかし、日本人の平均寿命が延びたのは、劇的に健康になってみんなが50歳ほど長生きしているというわけではありません。日本人の平均寿命が延びたのは、乳幼児や若い世代の死亡リスクが減っただけなのです。
日本人の平均寿命は80歳オーバー
2014年の日本人の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳で、いずれも80歳を超えています。1913年ごろの平均寿命は男性が42.06歳、女性が43.20歳。この100年で日本人の平均寿命は40歳も延びたということです。
しかし、平均寿命が延びたのはは日本人が健康になって、みんなが40歳ずつ長生きするようになった…という意味ではありません。ただ単に、若いころに死亡する確率がとても低くなっただけです。
昔は若くして死亡する危険がたくさんありました。現在ではかなり安全になった出産も、以前は大きなリスクでした。無事に生まれたとしても、まだ体が弱い時期に病気にかかったりと、死亡する子どもがたくさんいたのです。
日本人の平均寿命は江戸時代は30歳
日本人の平均寿命は、江戸時代では30歳ほどといわれます。とはいえ、75歳まで生きた徳川家康や、73歳で亡くなった水戸黄門など、平均寿命といわれる年齢よりも長生きした人が多くいたのも事実です。
江戸時代の平均寿命が30歳なのは、乳幼児のころに死亡するケースが多いことに加えて、飢饉や感染症、災害などによって亡くなる人がたくさんいたことが理由があります。
対照的に、現代日本では乳幼児の死亡率は格段に低下。医療や衛生環境が整備されたことに加え、食べるものに困らなくなったことにより、若い世代の死亡率は格段に低くなったのです。
日本人の平均寿命が延びた理由
日本人の平均寿命が延びた理由は、このように若い世代の死亡率が低くなっただけのこと。日本人が劇的に健康になって、平均的に40歳ほど長生きするようになったわけではありません。
ちなみに、日本人の平均寿命といってもは、単純にその年に死亡した人の年齢平均…という単純なものではありません。平均寿命の定義は、ある集団に生まれた人間が平均して何年生きられるかの期待値のこと。0歳児の平均余命ともいえます。
日本人の平均寿命の具体的な計算法は、各年齢の年間死亡率を求め、その年に生まれた人口がこの死亡率に従って毎年どれだけ死亡するかをシミュレーション。そのうえで死亡した年齢を平均したものが日本人の平均寿命となるのでした。